題詠blog*久野はすみ


by hasumikan

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001:今 長旅になるやも知れぬ文庫版古今和歌集ひざにのせたり
002:隣 薬屋の隣がぽっかり空いていて過ぎた時間もぽっかり消える
003:散 龍角散のふたをあければふうわりと古里にふる雪のやさしさ
004:果 果実みなふとりゆく秋かなしみを抱けば甘き水こぼれたり
005:点 枕辺に点鼻薬置く大切なものほどつかみそこねる指は
006:時代 旧校舎ありし時代を言うときの眼裏に青き柳がゆれる
007:驚 卯之町の小さき蔵の甘酒の驚くべきうまさをお土産に
008:深  冬なれば雪深き町 護られて力いっぱいふらここを漕ぐ
009:程 簡単な旅程の紙を手渡しぬ余白に鳥の落書きをして
010:カード カードキー差し込むようなメールにて開かれてゆく朝の心は
011:揃 無理をしてみたき晴天さばさばとりんどうの茎切り揃えゆく
012:眉 眉の骨かるく圧しつつ聴いている液晶のなかの鳥の羽音を
013:逆 ココアから湯気たつ夜の角膜にふれようとする逆まつげあり
014:偉 偉い人ばかりの船はしずむだけジョン・レノン流るる十二月
015:図書 図書館に図書目録はねむりいてその一枚を抜くごとく遇う
016:力 カステラを切り分けながら揺れている茅を見ていた風の力を
017: 従 ここからは貝殻骨に従ってしずかに時がすすむのでしょう
018:希 川を見にきたはずなのに川底に希少な石をさがしはじめる
019:そっくり そっくりな猫の写真を見て笑う虹鱒のソテーうつくしき夜
020:劇 笑わないあまたの首をしまうゆえ人形劇団倉庫は優し
021:示 指し示す路地のむこうに青き花咲きほこれどもその名を知らず
022:突然 真夜中に突然電話をかけてきて樹海へ行ってきたなどと言う
023:必 〈入力に不備があります〉たそがれの必須項目空欄のまま
024:玩 店中のロボットのねじ巻きたがる少年は春の玩具テロリスト
025:触 花びらのような触手もしずまりて島の珊瑚は深く眠りぬ
026:シャワー ゆりかもめ飛び立つ朝(あした)べったりと肌に張りつくシャワーカーテン
027:損  破損したパーツを買いに行ったきり四半世紀も戻ってこない   
028:脂 ベーコンの脂じんわり溶けだして幸福はつねに白き皿の上(へ
029:座 沈黙の鎮座しているリビングを抜けだしモルフォ蝶の国へと
030:敗 百七十九連敗の馬も居しパドックにふるまぶしきひかり
031:大人 窓口にて大人二枚と告げざりしこと友情を越えざりしこと
032:詰 逃げられぬところへ詰めてゆきしのち川のほとりに棋譜を燃やしぬ
033:滝 イグアスの滝へ行きたるものがたり思い出すためピアソラを聴く
034:聞 塩麹しろく濁れる厨にて良き伝聞が届くのを待つ
035:むしろ 青山のみのり豊けきこけむしろ美しきかな先をゆく人
036: 右嵐電(らんでん)に乗りてゆきたし冬ざるる京都右京区太秦の寺
037:牙 とこしえに睦みあうのも辛かろう象牙細工の二羽のうさぎよ
038:的 恣意的な解釈ばかりきかされて明け方甘きコーンポタージュ  
039:蹴 柵をこえ増えに増えたる蝦夷菊をうっかり足蹴にする冬の庭 
040:勉強 ずっしりと重たい本を読んでいる勉強嫌いが毛布をかぶり
041:喫 一つずつ荷をおろしては低くなる喫水線をはつかかなしむ
042:稲 ままごとの終わりをつげる声がしたお稲荷さんの鳥居のむこう
043:輝 もう二度と会わない人に謝りぬ宮本輝を返し忘れて 
044:ドライ 貝殻か桜紅葉かこの先のドライブルートを決めかねている 
045:罰 舌打ちに罰金を科す大声で笑うひとには報奨金を
046:犀  ―ウジェーヌ・イヨネスコの寓話― 
次々と犀になりたる人たちを見ているだけのわたくしも犀
047:ふるさと お城下の北と南に隔たればわずかにちがうふるさとの色
048:謎 訊ねたいことの多くは謎のままサイドミラーの角度を直す
049:敷 海ほどの大風呂敷を広げなさいそうしてしあわせになりなさい
050:活  瀬戸内の海賊たちのまぼろしを活力として走れ亀たち
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by hasumikan | 2012-12-04 06:13 | 題詠blog2012

完走報告(久野はすみ)

またしても最終ギリギリランナーでした。
今年のしばりは「あなた」「きみ」「おまえ」の禁止。
もし見つけたら笑ってください。
楽しかったです。ありがとうございました。
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by hasumikan | 2012-12-01 01:20 | 題詠blog2012